第1065回 環境工学Ⅰ 2006年 7月12日 「教師にとって会心の講義」

熱貫流率は建築環境工学全体でもきわめて重要な概念である。しかし、壁を熱が通り抜ける熱貫流という現象は、
風通しや日照のように実感しやすいものではないために、その大切さをイメージしにくい。
熱貫流量は、熱貫流率×温度差×面積で計算できること、だから、熱貫流量を求めるには熱貫流率を求める必要があること、
そして、熱貫流とは、熱伝達→熱伝導→熱伝達という現象であるから、
熱貫流率の計算には、屋外・室内表面の熱伝達率や材料の熱伝導率が必要である。
このようにして、しだいに細部まで解説は入っていく。
これまでの長年の授業の経験から組み立てた解説のシナリオだが、そのシナリオに沿った教科書が
手元にあることで、今日はそのシナリオに忠実に従うことができた。
受講した学生にとっては、たくさんある講義のひとつに過ぎないだろうが、私にとって今日の講義は
毎年の積み重ねで得た語り口を生かした会心の講義であった。

終了後、学生から誤植の指摘があった。どうもありがとう。

67ページ 9行目
「上記①と③の過程の熱抵抗である熱伝達対抗は、‥‥」
熱伝達対抗→熱伝達抵抗(対→抵)

この用語は索引語になっているため、
131ページ 右段
熱伝達対抗→熱伝達抵抗(対→抵)

さっそく出版社に連絡して正誤表をHPに掲載してもらった。
http://www.morikita.co.jp/soft/58111/58111errata.pdf
31ページの複合日影の説明が不十分だったので、それも掲載している。