第1322回 環境工学Ⅰ 2009年6月8日 「携帯電話」

授業中の携帯操作は禁じられている。
もし授業中に着信があったら電源を切るべきだし、
その場で応答してもいけない。こうしたルールは徹底されていて、
これまで携帯に関して学生に注意することはほとんどなかった。

今日の授業中、携帯を耳に当てながら席を立ち退室していった学生がいた。
授業を続けながら戻ってくるのを待っていたら、ほどなく戻ってきた。
そこで、授業を中断して通話の理由を聞いた。
その答えを聞き取れなかったので、携帯受信のための退席を注意して
学籍番号をきいた。ただ、このような時、答えない学生もいるので、
彼がはっきりと答えたことに好感を持った。

授業が終わったあとで、その学生が研究室を訪ねてきた。
携帯に出たのは病院からの電話だったからだと言う。
緊急かもしれないと思って電話に出たが、
今思えば授業中は出るべきでなかったとも言う。

その申し立てを聞いて、彼の考えと事情を理解できた。
教師は、学生の立場を考えながらも公平に接しなければならない。
しかしとっさの時に、その判断を誤ることもある。
残念ながら、間違って叱ってしまうこともあるのだ。

だから、彼が研究室を訪ねてきたことはとても嬉しかった。
何より彼の行動の動機を正確に理解でき、すがすがしさが残った。
やはり教室の基本はコミュニケーション。
堂々とした異議申し立てはいつでも大歓迎だ。