応用編の第1回目は「東京ドームとサンジョルディパレス」。
どちらも空気を流れをうまく生かして室内環境を形成している。
教科書で解説した必要換気量や体感温度の理論が設計コンセプトの
基礎になっているところがとても面白く、毎年この事例を取り上げている。
毎年、講義の冒頭で東京ドームに行ったことのある学生に手を挙げさせている。
この事例を取り上げ始めた90年代は、半数以上の学生が手を挙げていた。
しかも、行ったことのあることをアピールするように、元気よく手を挙げる学生も多かった。
東京ドームがプロ野球の試合に初めて使われたのは1988年4月8日。
教材として、前夜から降り始めた大雪で設計チームが大慌てする光景を描いた資料も使っている。
その資料には「さっそくドーム効果」という見出しの新聞記事も載せられており、
巨人のナインは先発桑田、3番クロマティ、4番原。
以前なら、ここで「なつかしー」という学生の声が聴こえていたものだ。
今年の講義では、東京ドームに行ったことのある学生は4分の1程度。
先発メンバーへの反応もうすい。
この年代は、ものごころがついた1993年にJリーグが開幕している。
人気のスポーツが野球からサッカーへ変わったことを教室でも実感した。
環境工学の理論は時を経ても変わらないが、
事例紹介ではサッカー球場も入れた方がいいかも。