三浦研究室は、芝浦工業大学システム工学部(現・システム理工学部)環境システム学科・第1期生の研究室配属に合わせて1994年4月1日に開設しました。その後、24年間にわたり埼玉県を研究の主なフィールドとして研究活動を行ってきました。
車を買うとき、あなたは何を重視しますか。エアバッグのついた安全な車。燃費のいい経済的な車。内装の質がよくて快適な車。選び方は人それぞれです。では、これからの都市では何を重視すべきでしょうか。地震に強い安全な都市。空気汚染や騒音のない健康的な都市。障害者の動きやすい便利な都市。現代の都市には克服すべき多くの点を抱えていることに気がつきます。これからはどんな都市に住みたいか。そのために私たちはどんな都市環境をつくらなければならないか。皆さんとともに考えてみたいと思います。地道な調査や実測によって建築や都市の環境を実感することも必要です。研究室に閉じこもるのではなく外に飛び出そう。この姿勢が基本です。
三浦研究室では、環境実測、アンケートなど着実な実態調査を行い、これらをもとに居住環境や都市環境の整備に役立つ研究を行ってきました。
最近では「地区スケールの実測による住環境改善の研究」と「障害児施設・富士見市立みずほ学園における環境実測にもとづく居住環境に関する研究」を中心に取り組みました。
「地区スケールの実測による住環境改善の研究」(住快環プロジェクト)は、地区住民と一緒になって騒音や大気汚染の状況といった地区環境を実測したり、また住環境に対する住民の満足度に関するアンケート調査を実施することにより、住民がみずから住環境に対する意識を高め、住環境を改善するきっかけにしようというテーマです。
「障害児施設・富士見市立みずほ学園における居住環境に関する研究」は、三浦先生が基本設計を行ったみずほ学園において、設計段階で考慮された温度・湿度・風速・放射温度などを実測し、その実態を調査するというテーマです。
研究室の各学生による研究成果は、日本建築学会大会でその学生自身が発表しました。いくつかの研究テーマについては日本建築学会の論文集(査読付き)にも収録されています。研究室の研究成果は自治体・協会・学会などの資料として活用されることも多く、研究と社会のつながりを重視してきたのが特徴です。
研究室の中心には、直径2メートルの大きな丸いテーブルを置いていました。既製品にはこれほど大きな丸テーブルはなく、家具工房に特注したものです。学生の研究活動において、三浦先生とゼミを行ったり、大きな資料を一度に広げて作業をするのに十分な大きさでした。また上座も下座もない丸テーブルはディスカッションの場としても最適でした。研究室のシンボルでもあるこの丸テーブルは、いつしか「円卓」と呼ばれるようになりました。
研究室の終了とともに円卓はその役目を終えましたが、卒業生の心の中にはいつまでもあり続けることでしょう。
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